スマートパッケージの未来②:実例から見る新しい日常

スマートパッケージの未来②:実例から見る新しい日常のイメージ

RFIDを実装し、各種情報との連動を可能にするRFID一体型オリジナルパッケージ
(画像元:DNP)

「パッケージ」と聞くと、多くの人は“中身を守る箱や袋”を思い浮かべるかもしれません。けれど今、その役割は大きく進化しています。スマートフォンのように“賢くなった”包装、それが「スマートパッケージング」です。センサーやQRコードを組み込むことで、商品を守るだけでなく、私たちの生活を便利に、そして楽しくしてくれる存在へと変わりつつあります。

 

目次

食品をもっと安心に

従来の「賞味期限」より正確に食品の状態を教えてくれる、鮮度センサーをパッケージに取り入れたスマートラベル
(画像元:Foovo)

食品業界では、パッケージに鮮度センサーを取り入れる動きが広がっています。たとえば腐敗を感知するスマートラベルは、温度や湿度をリアルタイムで監視し、従来の「賞味期限」より正確に食品の状態を教えてくれるのです。研究では、この仕組みによって食品ロスを最大40%減らせる可能性があるとされています。家庭で「まだ食べられるのかな?」と迷う時間が減るだけでも、大きな安心につながりますよね。

 

医薬品をもっと安全に

医薬品のパッケージにRFIDチップやセンサーを組み込むことで、温度管理や開封記録を追跡し、安全性を高めるオリジナルパッケージ 医薬品のパッケージにRFIDチップやセンサーを組み込むことで、温度管理や開封記録を追跡し、安全性を高めるオリジナルパッケージ
(画像元:TOPPAN)

医薬品のパッケージにも変化が起きています。RFIDチップやセンサーを組み込むことで、薬が適切な温度で運ばれているか、開封の記録が残っているかを追跡できるようになりました。日本でもTOPPANが導入事例を広げていて、偽造薬の流通防止や品質保持に貢献しています。体に入れるものだからこそ、信頼できる仕組みはありがたいものです。

 

物流をもっと効率的に

韓国のThermo Lab社による、輸送中の温度と位置情報をクラウド管理できるIoTパッケージ「Smart Cube」
(画像元:Thermo Lab)

韓国のThermo Lab社は、温度管理が必要な食品や医薬品の物流で「Smart Cube」というIoTパッケージを導入しました。輸送中の温度や位置情報をクラウドで管理し、異常があればすぐにわかる仕組みです。こうした技術があれば、安心して商品を受け取れる未来も近いでしょう。

 

ブランド体験をもっと楽しく

スマートパッケージは、エンタメやファッションの世界でも活躍中です。2024年にはPepsiCoがアーティストのBad Bunnyとコラボし、限定ボトルにQRコードを印刷。読み込むとApple Musicにアクセスでき、コンサートチケット抽選にも参加できました。単なる飲み物が「体験の入り口」になる仕掛けは、ブランドのファンを増やす強力な武器です。

限定版のペプシボトルにQRコードを印字し、「音楽体験への入り口」として提供することで、SNSで大きな話題を呼んだスマートパッケージ事例
(画像元:Pepsi’s Summertime Packaging)

こちらの内容は、前回の記事:「スマートパッケージの未来①」でご紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

 

前回記事:スマートパッケージの未来①▼
テクノロジーを組み込むことで、パッケージを新たな体験へと進化させ、ブランドと消費者をより深く結びつけるオリジナルパッケージ
(画像元:DNKN')

 

環境にもやさしく

段ボール使用量を65%も削減し、デザイン性と環境配慮を見事に両立した、布バッグと薄い紙で構成されるオリジナルパッケージ
(画像元:fashion snap)

持続可能性の面でも注目の取り組みがあります。スポーツブランドのPumaは、靴の箱を従来の段ボールから布バッグと薄い紙に置き換えました。その結果、段ボール使用量を65%も削減。電力や水の消費を抑えることにもつながっています。デザイン性と環境配慮の両立は、これからの時代に欠かせません。

 

これからのスマートパッケージング

今後はさらに低コストでの導入が可能になり、食品や日用品など身近な商品にも普及していくと見られています。色が変わって鮮度を教えてくれる包装や、自然に分解されるエレクトロニクスを使ったラベルなど、研究段階の技術も続々と登場しています。

スマートパッケージングは「便利」や「おしゃれ」にとどまらず、安心・楽しさ・環境配慮を同時に実現する技術です。食品ロスを減らし、薬の安全を守り、ブランドとの新しい出会いを生み出す。そんな未来を、すでに私たちは手に取り始めています

近い将来、買い物をするときに「ただの袋」や「ただの箱」ではなく、“情報を持ったパートナー”としてのパッケージが当たり前になるかもしれません。

 

 


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