「文脈に乗って、ちょっとズラす」あの紙袋が“なんか可愛い”の理由
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画像元:SHIRO
「なんか、この紙袋…ちょっと好き。」そんなふうに思った経験、ありませんか?
ロゴはシンプル。色も落ち着いている。形も見慣れたはず。でも、なぜか気になる。どこか引っかかる。
実はそれ、心理学でいう「システム1」が反応している証拠なんです。
■思考の二重システムと「ズラす」デザインの力
行動経済学者のダニエル・カーネマンは、人間の思考には以下2つのモードがあると提唱しました。
・ システム2:意識的、論理的、時間がかかる。計算や塾考、比較などを担う“じっくり思考”。
たとえば、お店で手に取る紙袋の印象や、SNSでスクロール中に「かわいい」と感じる商品パッケージ。それらはほとんど、システム1の判断で「いい」と感じているだけで、説明はできないことが多いのです。
でも、システム1にはひとつ弱点があります。
それは、「見慣れたものはすぐにスルーしてしまう」ということ。
だから、どれだけ丁寧にデザインしても、ただ“それっぽい”だけでは記憶にも印象にも残りません。ここで大事になるのが、「文脈に乗りながら、ちょっとズラす」という考え方です。
■ルイ・ヴィトンのブランディング戦略に学ぶ
たとえば、ルイ・ヴィトン。
伝統的なラグジュアリーブランドとして世界中に知られるヴィトンは、あえて現代アーティストの草間彌生さんや村上隆さんとコラボし、「水玉」や「カラフルモノグラム」という予想外のビジュアルを打ち出しました。
画像元:FASHION PRESS
これはまさに、“システム1が安心する文脈”にのせて、“少しだけ違和感”を混ぜるという高度なブランディングです。
紙袋も同じ。
たとえば「高級感=白地に金ロゴ」「清潔感=パステルカラー」など、業界ごとの“文脈”はたくさんあります。これらの文脈に乗れば、人は安心して「いいね」と感じてくれます。
でも、それだけでは埋もれてしまう。
「ちょっとズラす」ことで、“脳が一瞬止まる”。そのとき、システム2が軽く起動し、「なんか気になる」「覚えておこう」と印象に残るんです。
■記憶に残る「ズラし」の具体例と、その意図
無意識に心惹かれるデザインには、意図的な「ズラし」が隠されています。
・紐だけ蛍光色にしてみる
・ロゴの配置を下寄せにして“余白”を強調する
・裏面にだけ、小さな詩を添えておく、など・・
そんな「仕掛け」が、人の無意識にちゃんと刺さります。

画像元:TORY BURCH/ADDICTION
“ちょっとズラす”ことは、奇抜にすることではありません。
「文脈を知っている人だけが、意図的に崩す」から、受け入れられるんです。
紙袋も、ただの袋ではなく、ブランドの“世界観を持ち運ぶメディア”になります。
次に街で誰かが持っている紙袋を見たら、その色、ロゴの位置、紐の素材…ちょっとだけ気にして見てみてください。そこに込められた“ズレの意図”が、見えてくるかもしれません。
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