パッケージが「心を動かす」 心理学的な理由

私たちは「デザインを見て選んでいる」と思いながら、実際には無意識の思い込み、つまり認知バイアスによって選択をしています。パッケージはその無意識に最も強く働きかけるメディアです。
ここでは、10種類の代表的な認知バイアスと、それがどのようにパッケージデザインに活かされているかをご紹介します。
〜10種類の認知バイアスで読み解くデザイン心理〜
①ハロー効果(光背効果)

(画像元:CHANEL)
一部の印象が全体に影響を与える心理です。
たとえば、シャネルのマットブラックの紙袋を見ると、中身まで高級に感じてしまいます。ロゴや質感の“格”が、ブランド全体の信頼性を底上げしているのです。
②アンカリング効果

最初に得た情報が基準になってしまうバイアスです。最初に高品質なパッケージを手に取ると、「このブランドは高価な価値を提供する」と感じます。
逆に、紙袋が薄く安っぽいだけで「このブランドは価格を抑えている」と錯覚されてしまいます。
③確証バイアス

(画像元:DIOR)
人は自分の選択を正当化する情報ばかりを集めます。
たとえば、少し高価な商品を買った後に高級感のある紙袋を手にすると、「やっぱりこのブランドを選んで正解だった」と安心します。パッケージは「購入後の満足」を補強する心理的装置なのです。
④社会的証明のバイアス
他人の行動を正しいと感じてしまう傾向です。街中で多くの人が同じブランドの紙袋を持っていると、「人気ブランドなんだ」と感じます。
SNSでの“紙袋投稿”もこの心理を加速させています。
⑤ステータス・クオー・バイアス(現状維持バイアス)
人は変化よりも安心を選びたがります。パッケージのデザインを大きく変えず、少しずつ改良していくブランドは、この心理を巧みに利用しています。
たとえば、スターバックスの紙カップは時代に合わせて微調整しながらも、基本のトーンは変えていません。
◯過去のスターバックスについての記事▼
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(画像元:スターバックス)
⑥フレーミング効果

表現の枠組み次第で印象が変わるという心理です。
「エコ素材で作られた紙袋です」と書くのと、「環境に優しい紙袋です」と書くのでは、受ける印象がまったく違います。同じ内容でも“語り方”が感情を動かすのです。
⑦初頭効果
最初の印象が強く記憶に残るバイアスです。パッケージを開ける瞬間の体験が感動的だと、その後のブランド評価がずっと高くなります。Appleが開封体験に徹底的にこだわるのはこのためです。
◯過去のAppleについての記事▼

(画像元:The New York Times)
⑧親近効果
最後の印象が強く残る心理です。
購入後に持ち帰るパッケージが上質だと、「このブランド、最後まで丁寧だな」と感じます。エルメスのパッケージを手にした瞬間の幸福感は、まさに“最後の印象設計”の成功例です。

(画像元:Hermès)
⑨スノッブ効果
「他の人が持っていないから欲しい」と思う心理です。
限定カラーのパッケージや数量限定の紙袋は、この効果を活かしています。限定デザインは“希少性が価値を作る”典型的な手法です。
⑩単純接触効果
繰り返し接することで好感が高まる現象です。
駅構内や街中で繰り返し目にする紙袋デザインは、無意識のうちに信頼を獲得していきます。「見慣れているから安心できる」という心理は、長期的なブランディングの礎になります。
■ベリービーが目指す「心を動かすデザイン」

パッケージとは、理性ではなく「感情を動かす“装置”」です。
そのデザインの一つひとつが、認知バイアスを理解したうえで設計されることで、購買行動を大きく変えることができます。デザインとは美しさを整える行為ではなく、人の思考を“デザインする”ことなのです。
ベリービーが目指すのは、こうした心理学を背景に持つ「心が動くデザイン」。紙袋を通じて、人がブランドを“好きになる瞬間”を科学していきたいと思います。
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