形の残らない広告より、資産価値のある店舗とパッケージに投資する。

(画像元:TAMBURINS)
デジタル広告に多額の資金を投じても、その効果は一過性に終わることが少なくありません。スクロールされ、スキップされ、瞬時に忘れ去られる広告に数百万円を費やすよりも、長期的にブランドの「資産」として機能するものに投資すべきではないでしょうか。その代表例が、実店舗とパッケージです。
目次
■口コミを広告に代えるIICOMBINEDの戦略

(画像元:HYPEBEAST)
コスメブランドTAMBURINSなどを展開する韓国発のIICOMBINEDは、その考え方を体現する企業です。彼らは「広告宣伝費」をほぼゼロに抑え、代わりに物理空間や体験設計に投資しました。結果として、訪れた人が自らSNSで拡散し、口コミが広告の代替となる仕組みを構築しています 。つまり、広告が消費されるのではなく、空間やパッケージが顧客の記憶に資産として残るのです。
この考え方はIICOMBINEDの創業者キム・ハンコックが金融業界出身というユニークな経歴から生まれた発想です。
■「HAUS NOWHERE SEOUL」の体験設計

(画像元:HYPEBEAST)
店舗は単なる販売の場ではなく、「体験の舞台」です。たとえばIICOMBINEDの「HAUS NOWHERE SEOUL」は、14階建ての建物全体をブランドの体験空間として設計しました 。そこに足を踏み入れること自体が「広告」であり、同時に「作品」でもあります。顧客が再訪したくなる理由を作り出し、広告に依存せずにブランドの価値を持続的に高めています。

(画像元:TAMBURINS)
一方、パッケージもまた、投資すべき資産です。オリジナル紙袋やオリジナル箱は単なる容れ物ではなく、顧客の生活に入り込み、繰り返し目に触れ、時には再利用されます。その結果、長期的にブランド体験を拡張し続ける媒体となります。デジタル広告が一瞬で消えるのに対し、優れたパッケージは「歩く広告塔」となり、街中でブランドを広める持続的な力を持つのです。
■記憶とブランド価値を積み重ねる長期投資

(画像元:TAMBURINS)
ここで重要なのは、「費用対効果」の発想を転換することです。広告は一度出稿すれば終わりですが、店舗やパッケージは投資した瞬間から「資産」となり、継続的にリターンを生み出します。さらに、それらは会計上の減価償却を超えて、顧客の記憶やブランド認知に長期的な価値を残すのです。
デジタル疲れが広がる今こそ、企業は「広告から体験へ」「消費から資産へ」という投資のシフトを進めるべきです。短期的な効果に頼るのではなく、記憶に刻まれ、ブランドの価値を積み重ねていく投資こそが、次の時代の勝者を決めるのです。
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