アップルが仕掛けた“開封の魔法” 箱までほしくなるブランドは、何が違うのか?

(画像元:The New York Times)
今回はオリジナル紙袋を始めパッケージが果たす役割をアップルのインピュート(Impute)戦略から考えてみましょう。
目次
なぜ、アップルの箱だけは捨てられない?

(画像元:WWD)
クローゼットの奥に、なぜか捨てられず溜まっていく白い箱iPhone、MacBook、AirPods…。
「いつか使うかも」と思いながら、でも本当は“なんとなく手放せない”。そんな気持ちにさせられるのは、アップルのパッケージングが、ただの包装ではなく“特別な体験”として設計されているからです。
9to5Macの調査によると、28.3%が箱を永久に保管、59.5%が次の買い替えまで保管しているという数字が出ています。これは偶然ではなく、アップルが“心をつかむ箱づくり”をしていることの証拠です。
「インピュート」という哲学:箱は“第一印象メーカー”
アップルのパッケージ戦略は、創業当時から受け継がれる「インピュート(Impute)」の美学に基づいています。インピュートとは製品の品質を外観から推測させることです。
「人は中身を見る前に“外見”から価値を判断する」。
スティーブ・ジョブズはそう考え、わずかな妥協も許さず、箱のデザイン・質感・重さ・開け心地まですべてを“ブランド体験”としてコントロールしました。
五感を刺激する“開封の儀式”
アップルの箱を開けるとき、私たちは自然と少しワクワクしてしまいます。
それはこんな仕掛けがあるからです。

(画像元:Fast Company Middle East)
◯視覚:真っ白なシンプルデザイン
◯触覚:すーっとフタが下りてくる滑らかな動き
◯聴覚:「シュッ」と空気が抜けるあの音
まるで小さな劇を観ているような“開封体験”が、
製品への愛着を高め、心に残る記憶へと変えてくれるのです。
なんと「箱専用ルーム」で数ヶ月テスト

(画像元:Apple)
アップル本社には、“パッケージング専用の部屋”があり、デザイナーチームが何百パターンもの試作をひたすら開け続けてチェックしているそう。箱のフタが外れる「数秒」までも設計の対象になっており、ただ“開けやすい”のではなく、“気持ちが高まるタイミング”に合わせて作られています。
箱がコレクターズアイテムになる時代

(画像元:CACAO SAMPAKA) (画像元:Acne Studios) (画像元:Diptyque)
SNSや中古市場では、「箱付き」iPhoneの方が高く売れる傾向があります。
Redditには「Apple Boxes」という箱だけを集めたファンコミュニティまで存在。つまり、アップルはパッケージそのものを“資産”に変えることに成功しているのです。
パッケージは“コスト”ではなく、最強のブランド投資

アップルは、箱をただの“入れ物”とは考えません。「開封する瞬間」までを製品価値としてデザインすることで、①ブランドへの信頼、②ワクワクする感情記憶、③離れられない愛着を作り上げています。
製品の価値は、中身だけで決まらない。“どう見せるか”が、ブランドの力になる時代です。
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